美少女博士が愛を込めて観察するオタクたちの心意気──パトリック.W.ガルブレイス

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パトリック.W.ガルブレイス
このコラムでは毎回、時代を引っ張る話題の人をゲストにお迎えして近況をお伺いしつつ、Note Anytimeを実際にお使いいただきます。そして、ユニークなゲストのみなさんそれぞれの特別な視点からNote Anytimeへの印象、使った感想、そしてどのようにNote Anytimeを使ってみたいかをお話しいただきます。読者のみなさまに向けてオリジナルで快適なNote Anytimeの使い方をご提案すべく毎週月曜日・木曜日に更新します。

第三回目となるゲストに、萌え・オタク文化の研究者であり東京大学の博士号を持つ「美少女博士」こと文化人類学者のパトリック.W.ガルブレイスさんをお迎えしました。4年間を費やして完成させた著書「The Moé Manifesto」を6月に発表したばかりのパトリックさん。彼がオタクたちに示す深い理解と愛情がとても印象的ですが、そもそも日本のカルチャーである萌えやオタクにアメリカ人であるパトリックさんが興味を持ったきっかけや思い入れの理由などをうかがいました。

取材・文/TODA MARIE 撮影/Ayano*

世界で最も秋葉原を愛するアメリカ人

──アメリカ人のパトリックさんが日本のアニメに興味を持ったきっかけは?
私はアメリカ合衆国アラスカ州出身です、冬がとても長い場所でした。そういう環境の中で5人兄弟の一番上の兄が日本文化に興味を持っていたんです。彼が16歳、私は4歳くらいの時の事です。兄が日本のアニメを見ていて「自分にも見せて!」と頼んだけどダメと言われ見せてもらえませんでした。でもダメって言われると余計に興味をそそられましたね(笑)それがアニメとの最初の出会いでした。その後、12歳の時に父親の仕事の事情でモンタナ州に引っ越しましたが、学校では孤独でモンタナ州は嫌いな場所でした。その時に改めてアニメの良さを感じましたね。初恋の相手は「美少女戦士セーラームーン」の月野うさぎちゃんです!

──現在は文化人類学者として「萌え・オタク文化」のスペシャリストですが、はじめから研究対象としてみていたのですか?
最初は趣味程度でしたが、段々もっと知りたいと思うようになりました。「アニメを日本語で見たい!」という一心で日本語を勉強しました。2004年に初めて秋葉原に行った時、オタクや一般的に理解され難い趣味を持つ人が集まる場所で、自分はひとりじゃないと感じました。街中が常にお祭のような雰囲気で面白かったですね。自分は学生時代に学園祭などに参加出来なかったからというのも、ひとつの理由かもしれないです。初めて秋葉原に訪れてからは、その文化をもっと深く知りたいと思い上智大学の修士課程、そして東京大学の博士課程へ進み、それぞれオタク文化について研究して東京大学で博士号を取得しました。

──そんなパトリックさんのお気に入りのアニメは?
最近のアニメだと「ラブライブ!」が良かったです。内容そのものよりキャラクターが面白かった!キャラクター各々がアイドルになりたい事情があって、人間関係がよりリアルに描かれているように感じられましたね。それから、昔と変わらず「美少女戦士セーラームーン」も好きで、20周年プロジェクトの「美少女戦士セーラームーンCrystal」も楽しみにしています。

パトリック.W.ガルブレイス

──独特のオタク文化の中で最も興味深い部分は何ですか?
とことん極める心掛けと愛情です。「好きだから究極まで極めたい」という気持ちや、「このキャラクターが好きだから関連する全てのグッズを揃えたい、コスプレをしたい、痛車を持ちたい」というような、キャラクターやコンテンツへの愛情が本当にいい。恥ずかしがらずに、自分の気持ちや心に素直に、全面的に愛情を表すオタクとしての心意気がとても好きです。「そこまでいくか!?」という感じ。自分の理想があってそれを追い求める。普通とは違う世界観、視点、観点、価値観を持っている。そのチャレンジはすごくいいですね。信じている世界へのチャレンジ。萌えはその実例です。みんなとても真剣ですよね?短絡的な解釈をされてしまうこともあるけれど、「何故ここまで突き詰めたのか?」というのは私の研究の動機でもあります。

──パトリックさん自身オタクであり、ひとりのオタクとして研究をしている?
私はオタクとしてまだまだです!極めたオタクはどこまで極めてもまだまだその先を追い続けている。その姿勢に感動します。私は彼らのような究極に達しているオタクの背中を見て、後ろから追っているんです。

──オタク文化の研究者として影響を与えたり変えて行きたい事はありますか?
今後、独特な表現が規制されて行く可能性は高いと思います。幼い子供が登場する漫画やアニメ、ゲームが児童ポルノという扱いになってしまったり。そういったものが好きな人はみんなロリコンだという解釈があるけど、それは違う。キャラクターはあくまでキャラクターなわけで。私たちにはそれを正しく説明する義務や勇気が必要だと思う、一概に危ないわけじゃないと。自分は観察者なので、代表で発言するというのとは違うけれど、オタク文化を守りたいという気持ちがあります。「The Moé Manifesto」に登場するようなオタクの究極に達しているオタクたちは自分の立場を利用して発言して欲しいと思いますね。発言出来る場を持っているわけだし。

アナログ派のパトリックさんにNote Anytimeを実際に使ってもらう

──アナログなアニメに思い入れは?
CGを使った最新のアニメより手書きのアナログなアニメが好きですね。変身シーンひとつとっても昔のものには丸みがあってゆっくりで、きらきらしてる部分があった。実は機械は苦手です。iPhoneを使うのもやっと!指が大きいからタッチパネルが苦手というのもあるけれど…意外とアナログです。

──Note Anytimeを使ってやってみたいことはありますか?
大学の授業ででOHPを重宝してたんだけど、時代が時代でなくなってしまったんです。手で書いたものをそのまま見せられるのが凄く良かったんですけど…。手書きが出来るNote Anytimeなら、OHPの代わりに大学で授業で使えますね。

パトリック.W.ガルブレイス

最後にNote Anytimeを使用した直筆でのサインと座右の銘、音声メッセージをいただきました。

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パトリック.W.ガルブレイス
アメリカ合衆国アラスカ州生まれ。オタク文化、萌えのスペシャリストであり文化人類学者。上智大学で修士課程、東京大学で博士課程を修了。Metoropolis MagazineやOtaku USA、The Japan Timesなど多数に執筆。2014年6月にオタク文化に関わる著名人20人へのインタビューをまとめた新著「The Moé Manifesto」を発表。

関連リンク

The Moé Manifesto
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